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事実婚のご夫婦の場合、法律上の夫婦と大きく違う点は、「相続権がない」ということです。
実際に、パートナーの死後、法律上の相続人からの請求により、家を出なければならなくなったり、たちまち生活が苦しくなるケースが実際にあります。
生前に「遺言書」を残しておいたり、「信託契約」により、パートナーの安心を保証することはとても大切なことです。
事実婚のパートナーを保険金受取人とする生命保険に加入するという方法もあります。
生命保険金は、相続財産から除くという考えが一般的ですので、事実婚のパートナーを受取人に指定しておけば、亡くなった後の保険金という財産を残すことができます。
ただし、事実婚の場合は相続税における配偶者の税額軽減が受けられず、また、死亡保険金についても、相続税が2割増しで課税されます。
保険会社にもよりますが、事実婚をスタートされてから3年~5年経過しなければ(実体がなければ)保険金受取人を変更できない保険が多いようです。
将来に不安を感じるのであれば、法律婚に移行するのが一番ですが、事実婚を選ばれるカップルにはそれぞれの事情を抱えておられる方がほとんどです。
悲しい想いをさせないために、事実婚のご夫婦はお元気なうちに、パートナーのために最低限度の備えをしておきたいものです。
法律婚と事実婚の違いを簡単に表にしてみました。
表の下の方の色付け文字の欄については、法律婚と事実婚との格差が表れている項目となります。
×となっている部分については、対策によっては、△または〇となる項目です。
法律婚 | 事実婚 | |
入籍の届出 | あり | ー |
戸籍 | 同一戸籍 | 別戸籍 |
住民票 | 〇 | 夫・妻 (未届) |
同居義務・扶助義務 | ○ | ○ |
生活費分担義務 | ○ | ○ |
貞操義務 | ○ | ○ |
関係解消時の財産分与 | ○ | ○ |
関係解消時の慰謝料 | ○ | ○ |
生命保険受取人 | ○ | △ |
配偶者控除 | ○ | × |
社会保険 | ○ | ○ |
遺族年金 | ○ | ○ |
子どもの親権 | 共同親権 | 父・母いずれか一方 |
相続する権利 | ○ | × 遺言書作成⇒〇 |
成年後見 | ○ | × 任意後見契約⇒〇 |
病院での手術同意・面会 | ○ | × 療養看護の取決⇒〇または△ |
死後の葬儀・埋葬・納骨等 | ○ | × 死後事務委任契約⇒〇 |
事実婚のパートナーであっても、生命保険の受取人や、医療保険等の指定代理請求人になれたり、遺族年金についても受給要件を満たせば事実婚であっても支給されるなど、夫婦としての認知度の高まりとともに、状況は変わりつつあります。
また、「同居義務・扶助義務」「生活費分担義務」「貞操義務」「財産分与請求権」「慰謝料請求権」といった権利義務は、事実婚にも考え方が適用されます。
しかし、注意が必要なのは、「当然に」ということではなく、お二人が双方に事実婚であるという意思確認ができていることが前提になります。 また、法律婚の配偶者と違って、税法上の配偶者控除が受けられなかったり、相続権がないことは将来の上での不安材料となり、法律上の権利が認められないことは否めません。
とくに中高年の事実婚のカップルの方には、数十年後にやってくるシニア生活において、対策や備えがないままでは、不安な事柄が生じることとなりますので、注意が必要です。
「相続する権利」「成年後見」「病院での手術同意・面会」「死後の葬儀・埋葬・納骨等」は上の表をご覧いただくと「×対応により△or○」となっています。
対策を講じておかなければ、権利がありませんので、遺言書や信託契約などで生前に準備しておいたり、任意後見委任契約等を締結して残しきましょう。
そうすることで、「△」や「○」になり、事実婚の将来の不安材料が軽減されます。
「パートナーと共に生きていきたいけど、子どもたちや親、兄弟が反対している。だから、事実婚という形を取ろうかと迷っている。」
このように仰る方は少なくありません。
離婚歴があり、お子さんが成人している中高年の方やシニアの方にとって、まわりのご家族の理解をなかなか得られず、ご自身も迷い悩まれているケースは多いようです。
そのようなとき「遺言書を残す」という将来への配慮の方法もあります。
ご自身の死後、残されたパートナーや家族が「相続」の場面から「争族」とならないためにも、その家族関係に合った財産確保の仕方を、きちんと決めておくことは必要なことです。
また、生命保険金の受取人を事実婚(内縁)の妻や夫に変更する旨を遺言書に残しておくことができます。
具体的には、生命保険金の受取人はあらかじめ2親等以内の親族(子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹)にしておいて、その後、遺言書のなかで、保険金の受取人を内縁の妻(夫)とする旨を記載しておきます。
そうすることで、保険契約上の受取人ではなく、遺言書に指定された受取人が優先されることとなります。
自分の死後も長年連れ添ってきた相手の生活や居所を確保してあげたい。
しかし、実際にあったご相談のなかには、長年ともに暮らしてこられた事実婚のご夫婦。
突然のご主人の死によって、相続権が無かったがために、奥様がたちまち、住む場所を奪われ、金銭的な不安に陥るという不幸に見舞われたことがありました。
このようなケースは、生前に信託契約を残しておくことで回避できる場合があります。
例 信託の登場人物
委託者・・・ご主人
受託者・・・成人した夫の前婚での長男
受益者・・・生前はご主人、ご主人の死後は事実婚の奥様
ご主人と長男で、生前に信託契約をしておきます。当初受益者をご主人本人にしておき、ご主人が亡くなったときの第二受益者をパートナーに設定しておきます。
長男には、パートナーの老後、生前中の生活保全を託すことをお願いしておけば安心ですし、パートナーが亡くなったときに、信託が終了する旨を決めておけば、最終的に長男や子どもへ資産を承継させることもできます。
パートナーの死後、相続権がなく、経済的に困ってしまわれ不憫な想いをさせないために遺言書を残しておくことは大切なことです。その一方で、双方のお子さんや家族への配慮も忘れてはなりません。そのためには、遺留分にも配慮のうえ、ご自身が残しておきたいと思う財産の配分をしっかりと考えておくことが必要です。そして、ご自身の想いや気持ちがしっかりと家族が伝わるような温かみのある遺言書を残しておくことで、できるだけ残された家族が揉めないようにしておくことができます。
事実婚の夫婦には相続権がありませんので、まず大切なことは遺言書を残しておかれることです。また、老後に備えて奥様を委任者、ご主人を受任者とする委任契約を締結しておきます。そうすることで、生前の身のまわりのことや、万が一、認知症になった場合のこと、そして、お亡くなりになった後の手続、葬儀や納骨、供養のことまでお願いすることができます。実際に、中高年のご夫婦間では、このような備えをしておかれるケースが増えています。
昨今、結婚のカタチも多様化し、事実婚を選ばれるご夫婦が増えています。
しかし事実婚の場合、同棲や週末婚などの付合いの形と、ご夫婦の境目が曖昧なため、お二人の気持に温度差がある場合が少なくありません。
なんとなく同棲からスタートしたけれども、日常に流されて、改まってきちんと話し合えていないと仰るカップルがたくさんおられます。
お互いの将来のため、不安を抱えないようにしっかりと備えておくことは、パートナーへの優しさであり、夫婦としての責任と考えます。
事実婚だからこそ、きちんとした知識を持っていただき、しっかりとご夫婦で話し合っていただくことが、将来の安心へと繋がるものと思います。
安心した夫婦生活を築いていただく関係構築ためのお手伝いをさせていただければ幸いです。
***プロフィールより***
2007年より、自身の離婚経験を生かした離婚相談を行う。
離婚協議書の作成から、悩める方の心に寄り添うカウンセリングを目指すことで、口コミ等により定評をいただき、多数の離婚相談案件を取り扱う。
離婚相談からシフトし、夫婦関係修復、再婚、事実婚など、夫婦関係全般の相談をお受けするようになり、2014年より、Salviaマリッジカウンセリングを立ち上げる。
夫婦相談カウンセリング、そして、離婚しないための文書として、広く全国から結婚契約書の作成をお受けするようになり、現在に至る。
上記テーマは一例です。
ヒアリングにてお聴きした内容を基に、お二人が話し合うべきポイントを挙げ、実りある話合いを進めていただけるようなテーマシートを作成いたします。
当ホームページにお越しいただき、ありがとうございます。事実婚に関するお問合せ、ご質問は何なりと、以下のフォームよりお願いいたします。
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事実婚のパートナーに将来の不安を感じさせていませんか?
日々の生活に流され、「いつか考えよう。」と先延ばしにしがちですが、お互いへの愛情、優しさあればこそ、決めておくべきことはしっかりと、備えておきましょう。
曖昧になりがちなことを、きちんと整理し不安を解消したうえで、夫婦関係を築いていくことが幸せになるための秘訣です。
「改まってパートナーへ切り出しにくい。」という方もご安心ください。
契約書作成の前に、話し合いのためのたたき台【テーマシート】をお手元にお送りします。
お二人のケースに合わせたテーマに沿って、話し合いを進めていただけるようになっていますので、テーマシートに話し合われた内容を書き込んでいただくだけでOKです。
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